『村上春樹いじり』いじり2013年12月13日



 酔っぱらっているときにAmazonでポチッとしてしまった『村上春樹いじり』が届いたので、さっそく読んでみました。

 僕はハルキストとまではいかないまでも、村上春樹の大ファンです。長編はもちろん何度も何度も繰りかえし読みましたし、短編もほとんど読んでいます。



 そんな僕の率直な感想はというと……

「不愉快だけどおもしろい!」

 です。



 正直、読みながら何度も吹き出してしまいました。なかなかいいツッコミがあるんです! たとえば登場人物に対するこんな感じの。
 バルザック全集に、ホメロス……こいつらは会話のなかになんか物故作家の人名をかならず入れないと死んでしまうような病気でも抱えてるんでしょうか。

 次は『海辺のカフカ』に出てくる大島さんに対するツッコミ。
 そんで仕事の段取りを教え、カフカが「いろいろとありがとう」と言うと、「my pleasure」とわざわざ英語で答えます(ルー大柴か)。
 たしかにここは僕も引いた覚えがある(笑)。

 ほかにも、コーヒーとブランディーばかり飲む(村上春樹的クールな)主人公が次はどちらを飲むのだろうと予想していたら、ブランディー入りのコーヒーを飲んですっかりやられたとか。どうしてカリフラワーばっかり茹でてるのか、とか……。村上春樹の小説を読んだことのある人ならわかるツッコミが満載で、思わず吹き出してしまうこと間違いなしです!



 しかしその一方で、この著者は村上春樹の小説をちゃんと読めていないというか、書いてあることが理解できていないんだなと思われる内容も満載です。たとえば著者は『ノルウェイの森』の主人公にこんなツッコミをしています。
って……水筒にブランディーを入れてきます。水筒とブランディー。クールすぎます。もう底が見えないクールさです。恐怖すら感じます。こんなミスマッチ見たことがありません。タッパーに懐石料理入れてきたみたいな。
 この著者は小学生が遠足に持っていくような水筒を想像しているに違いありません。でも、主人公が持っていったのは「ブランディーを入れた薄い金属製の水筒」です。どう考えてもスキットルですよね、これは。それを知らないで、この著者は村上春樹を馬鹿にしているわけです。

 ツッコミどころは、ほかにもたくさんあります。
春樹的クールには今まで「嫉妬」という感情はほとんどといっていいほどフューチャーされませんでした。
 それを言うなら「フューチャー(future)」じゃなくて「フィーチャー(feature)」ですな。まあ、これは編集者の責任か?

ワードローって言い方が
 「ワードロー」ですな。おい、編集者!

そこでピナ・コーラを気が狂ったように飲み、はしゃぎ、
 それは「ピナ・ コラーダ」ですから……。書く前に確認しなさい!

 あのね、書籍の原稿をブログを書くような安易さで書いてはいけませんよ。

 村上春樹にツッコミを入れるには100年早いです。



 なのに著者はこんなことまで書いてしまいます。
 「イタさ」を「イタさ」で包み込むという、春樹文学独特の「グルービーな空気」がものの見事に体現されているシーンで、思わず鳥肌が立ちました。
 もうここまで来ると、なにも言葉が浮かびません。しいて言うなら、「直視できない」としか言い様がありません。

 イタいやつほど、他人のことをイタい、イタいというものです。作者はそんなイタい自分を徐々に告白しはじめます。
よって村上春樹はボクのような喪男から蛇蝎のごとく嫌われ、罵られてきました。喪男がなぜそんな忌み嫌うのかというと、それはおわかりのとおり、喪男はその恋愛が成立する前提までいかないからですね。だからその前提が成立してあーだこーだウジウジやってる連中が腹立ってしょうがない。全然、感情移入できねぇ!!!ってなるんだと思うんですよ。
 つまり村上文学には今まで、おそらくすべての男が通過してやまなかった、異性からの「拒絶」というのがほとんど描かれなかった。その「拒絶」を実生活でこっぴどく味わっている人ほど村上文学が嫌いになる、というアンチの心理的な法則がありました。
 つまり、アンチの人は主人公がモテるので嫉妬して腹を立てているのだと……。
だから主人公がこんな毎回モテる必然性もよくわからないまま、そのわりに「孤独だ……孤独だ……」とかぬかしてると、「おい、おまえモテてんのに、そんな孤独とか言ってんじゃねーぞコラ! オレのほうが孤独だぞコラ!!!」と言いたくなる。これは喪男特有の「オレのほうが非リアだぞ。苦渋を舐めてるぞ」という敗北心理にほかなりません。こんなことで責められていたら、春樹さんもやっていられないでしょう。とばっちりというやつです。
 あれま、ちゃんと自分でわかってたのね……。やれやれ。



 最後に、本の背表紙にある言葉をこの本の著者に送りたいと思います。

「あなたはまだ 春樹の楽しみ方を知らない」

 いつかわかるかもしれないし、一生わからないかもしれない(爆)。





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