最近買った本2012年03月03日

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 新しいブログで色々と試してみたいことがあったので、またまた練習がてら最近買った本の紹介など。

 まずは1月に発売されたばかりの『歪笑小説』から。内容は作家と編集者のネタを中心とした短編集です。と言っても、ずっと同じ人たちが登場しますので長編小説とも言えるかもしれません。東野圭吾のいつものパターンで最後の方に仕掛けがあり、色々な面でじゅうぶんに楽しめる作品となっています。

 でも、いつもは村上春樹ばかり読んでいる僕がこの本を読んでいてふと気づいたのは、登場人物が頭に思い描けないということでした。村上春樹の小説を読んでいると登場人物のイメージが比較的はっきりと思い浮かんでくるのに、なぜか東野圭吾の本ではそれがない。で、新しく誰かが登場してくる場面を読み返してみて、その理由がわかりました。描写が極端に少ないのです(村上春樹とくらべるとですが……)。たとえば、小堺という編集者の登場シーンはこんな感じになっています。

 その憧れの職場に出勤した初日、青山がきょろきょろとしていると、「何か用?」といって痩せた男性が近づいてきた。
 青山は自己紹介し、事情を話した。男性は得心のいった顔で頷いた。
「君が青山君か。聞いてるよ。俺が面倒をみることになっている。よろしくな」
 男性は小堺といった。気さくそうな人物だったので青山はほっとした。

 それに対して、村上春樹の場合はたいていこんな感じです(『神の子どもたちはみな踊る』の「UFOが釧路に降りる」より引用)。

 同じようなデザインと色のオーバーコートを着た二人の若い女が、空港で小村に声をかけてきた。一人は色白で、170センチ近く、髪が短い。鼻から盛り上がった上唇にかけて、毛の短い有蹄類を連想させるような、妙に間延びしたところがあった。もう一人は155センチくらいで、鼻が小さすぎることをべつにすれば、悪くない顔立ちの娘だった。髪はまっすぐで、肩までの長さだった。耳を出していて、右の耳たぶにほくろがふたつあった。ピアスをつけているせいで、ほくろは余計目立った。どちらも20代半ばに見えた。

 そんなわけで、東野圭吾は“プロット”の人で、村上春樹は“描写”の人なんだなぁと納得させてくれた一冊でした。

         *

 もう一冊の『オートフィクション』は、偶然ほかの本で内容のごく一部を読み、面白そうだなと思って買ってみたのですが、これがひさびさの大ヒットでした。ちなみに作者の金原ひとみは、綿矢りさと共に芥川賞を受賞した人です。

 ここでは書けないような特定の言葉(この本のキーワード?)が連発され、電車内とかで読んでいるところを見られたらちょっと恥ずかしいかもしれませんが、僕の大好きなアニメ『ボボボーボ・ボーボボ』にもつながるスピリットがあるというか(内容はまったく違いますが)、若くてハジケた(かつ繊細な)人じゃないと書けないようなものがびっしりと詰まった内容だと思います。とにかく新鮮な内容で、この作者のほかの作品も読んでみたくなる一冊でした。


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