エゾスズランはスズランではない!2014年06月24日


「はい、それでは時間となりましたので、森の散策タイムをはじめたいと思います。私は本日ご案内させていただきます、ボランティア・ガイドの金若こんにゃ久美子です」とその美しい女性は言った。「本日は私のほかにももう一人、虫に詳しい先生に同行していただきます」
「岡津羽です。よろしくお願いします」、横にいた中年男が笑顔であいさつした。いかにも何かの専門家といった地味な風貌の男だった。
 参加者は全部で八名。小学校の低学年くらいの子供を二人つれた四人家族と背の高い中年女性が一人、あとは定年退職をして間もないと思われる夫婦が一組と私という構成だった。

 森の中に入ってすぐに、道路わきにあった少し大きめの草を指さして美人ガイドが言った。
「これが何かわかる方いらっしゃいますか?」
「アオチドリだろ」と定年退職組の夫が答えた。
「おしい! すごく似てるんですけど違うんです」とガイドの女性は笑顔で言った。
「恥ずかしいから知ったかぶりしないで」と妻が小声で言った。
 夫は顔をそむけて舌打ちをした。
「実はこれはエゾスズランというランの仲間なんです!」と美人ガイドが笑顔で言った。
「スズランはユリ科だからランの仲間じゃないだろう」と定年夫が大声で反論した。
「はい、おっしゃる通りスズランはユリ科ですけども、このエゾスズランはスズランの仲間ではないんです」とガイドは続けた。
「意味がわからん! なんでスズランなのにスズランの仲間じゃないんだ」
「名前はエゾスズランなんですけども、スズランじゃなくて、カキランという……」
「じゃあなんでスズランなんだよ!」と男は声を荒げた。
「だから今ガイドさんがそれを説明しようとしているんじゃないですか。少し黙って聞いていてもらえませんか?」、たまりかねたように背の高い女性が言った。
「ねえママ、ひとみ、帰りたい。あのおじいちゃん恐い……」と小さい方の子供が言った。


 次の記事につづく(ちなみに内容はフィクションです)





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No title

たまに見かける情景です。
世の中、こんな感じの世代が多くなっていくのでしょうね。
同世代としては身につまされる思いです。自戒をこめて。
是非、続編を・・・・・

Re:

最初はただエゾスズランの説明を書こうと思っただけだったのですが、
変な名前を思いついて適当に書きはじめたら、話がヘンな方向へと進
んでしまいました。(^_^;)

ではリクエストにお応えして、夜にでも一杯やりながら書いてみます。
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Scorpionfly

Scorpionfly
※名古屋に転居しました!
円山を中心に、三角山や藻岩山、手稲山、野幌森林公園なんかにも出没します。書く内容によって文体が変わるクセがあります。

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