春琴抄2015年05月15日

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先日、古本屋で谷崎潤一郎の『春琴抄』を買った。

実はその前に、同じく谷崎潤一郎の『痴人の愛』を読んだのだが、こちらは途中で読むのをやめてしまった。いつだったか忘れてしまったけれど、夜に偶然テレビでこの映画が放映されていてストーリーはわかっていたし、「ですます調」の文体もあまり興味をひくようなものではなかったからだ。

それにしても、村上春樹も一作ごとにその文体において新しい試みをしているのだなと感心していたのだけれど、その点において谷崎潤一郎は凄すぎますな。

特にこの『春琴抄』は、句読点が極端に省略されていてビックリしました! だって実際、こんな感じの文章なんですよ。

それに道修町の時分にはまだ両親や兄弟達へ気がねがあったけれども一戸の主となってからは潔癖と我が儘が募る一方で佐助の用事は益々煩多を加えたのである此れは鴫沢てる女の話で流石に伝には記してないが、お師匠様は厠から出ていらしっても手をお洗いになったことがなかったなぜなら用をお足しになるのに御自分の手は一遍もお使いにならない何から何まで佐助どんがして上げた入浴の時もそうであった高貴の婦人は平気で体じゅうを人に洗わせて羞恥ということを知らぬというがお師匠様も佐助どんに対しては高貴の婦人と選ぶ所はなかったそれは盲目のせいもあろうが幼い時からそういう習慣に慣れていたので今更何の感情も起らなかったのかも知れない。

これだけの文章で、「、」がひとつと「。」がひとつしかありません。それもわざとそうやって書いて、しかもそれがちゃんと読者に受け入れられて評価されているところがすごい!

まあでも、実際はときどき前に戻って読み直さないと意味がわからない箇所もあるので完成された文体とは言えないものの、こんな書き方をしても割と普通に読み進められるというのはやはり文章技術があるからなのでしょうな。

普段文章を書かない人にはわからないかもしれませんが、読点(、)がなくても意味が正しく伝わるように文章を書くには語順を適切に整える必要があり、それはそう簡単な作業ではないのです。今はパソコンがあるので編集もそれなりにラクにできますが、これを原稿用紙に直接書いて仕上げたなんて想像もできません。まさに文豪のなせる業ですな。








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むかし・・・

そういえば北国tv 時代に、句読点の無い書き方をしている方が
いたように記憶しています。句読丸まで延々と続く独特の文章に
ちょっと興味を持ち始めた頃、その方はブログをヤメられてしま
いましたが・・・。
今の旅烏のブログのこだわりはタイトルが二文字。それと改行を
きちんと揃えること。もう一つあった「100マイルブログ」は
四文字熟語をタイトルとして使っていました。もう習慣になった
二文字タイトル。時々ヤメようかと思うのですが、なかなか...ね。
小説をほとんど読まない旅烏。ただ破天荒な椎名誠さんが大好き
で文庫本は時々買って読んでいます・・・。(^^;)

Re: むかし・・・

言われてみれば北国tv時代に句読点の無い文章のブログを書いていた人がいましたね旅烏さんの二文字タイトルはなかなかいいと思いますのでぜひ続けてほしいです椎名誠さんは僕も好きでそこそこ読んでますよ特に『さよなら、海の女たち』とかを読むと僕と酒の飲み方というか地方での飲み屋の選び方が似ているのでとても共感できます。

涙。

いつの間にかここに辿りつき記事読ませてもらいすごく励まされました(゜ー゜*)

元気も笑顔も無くしていたんです私、良いことなくて…。
でも暗い気持ちでいたらそれこそ良いことなんて無いのかもしれないですね。
そんな気持ちに勝手にさせてもらっちゃいました(◎>∀<◎)

と同時にScorpionflyさんってお話したらどんな方なのかな?と気になってきました(≧∇≦)キャー♪
すこしでも話を聞いてもらえたら自暴自棄から抜け出せるきっかけを掴めるんじゃないか…と思わせてもらえたものですから。
お忙しいと思うのですが少しだけ私の悩みを聞いてもらえませんか?
もし、もし良かったらメールください((●≧艸≦)

Re: 涙。

Scorpionflyさんは毒舌で下品なので、話しても良いことないですよ。
ってこれは、コメント・スパムですな(笑)
うっかりメールしちゃうと危険なサイトに登録されちゃうみたいですので、皆様ご注意ください。

参考:http://hasuraa.blog86.fc2.com/blog-entry-757.html
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Scorpionfly

Scorpionfly
※名古屋に転居しました!
円山を中心に、三角山や藻岩山、手稲山、野幌森林公園なんかにも出没します。書く内容によって文体が変わるクセがあります。

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